株価暴落の原因を知るには歴史・金利・経済の本質を学べ

はじめまして、投資家の関原大輔(@sekihara_d)です。

今回は株価暴落の原因を知る方法として、歴史・金利・経済の本質を知ることが重要、という話をしていきたいと思います。

株の先生

2019年1月現在、株式市場は直近の株価暴落のショックから抜け出せずに、株価は依然として低迷を続けています。

2018年の株式市場は2~3月にかけて一度暴落が発生し、その後は回復傾向にありましたが、10月から再び下落基調に転じ、12月には大きな暴落を招きました。

日経平均株価の下落率は2〜3月にはおよそ15%、10〜12月には20%以上も下落してしまいました。

このように株式市場というものは年に1〜2回の頻度で暴落が発生します。そして上昇と下落を繰り返しながら、長期的には上昇していく傾向にあります。

日経平均株価 2年チャート

ここで株式市場がなぜ、定期的に暴落を引き起こすのかを知ることは、投資家にとって重要な知識となります。

2018年の暴落はもちろん、リーマンショックやITバブル崩壊時においても、暴落にはきちんとした原因があります。

そしてその原因はどの暴落においても概ね共通しています。

株価暴落の原因が分かれば、経済の本質をも理解でき、その後の投資活動に必ず活かすことができます。

よって今回は株価暴落の原因について、歴史や経済の本質に迫りながら解説していきます。

株価暴落の原因 景気循環と経済のメカニズムを知る

1992年以降の日経平均株価

株価というものは一定のサイクルで上昇と下落を常に繰り返しながら動いています。

これは下記のような景気の循環サイクルがグルグルと廻ることにより、歴史的に同じような動きを常に繰り返してきているのです。

景気拡大 → インフレ → 金利上昇

↑           ↓

金利低下 ← デフレ ← 景気縮小

ここで重要な役割を担っているのが『金利』です。

各国の長期金利は、それぞれの政府と中央銀行によって大部分が操作されています。

これは言い換えると、経済の行方はある程度、政府に操作されているという事です。

例えば政府の思惑通りにインフレが進み景気が過熱してくれば、金利を上昇させ相場を抑制します。これは現在でいうと米国が段階的に利上げをしていますよね。

逆にデフレが続いている場合には金利を引き下げて経済を活性化させ、インフレを誘導する政策が施されます。

これは現在の日本に当てはまります。

すなわち、金利が上昇してくれば景気後退が近づいているということになり、逆に金利が引き下げられている状況においては近い将来に経済が活性化され、景気が拡大することを意味しています。

株価暴落の原因は金利にある

株価の暴落前というのは大抵、経済が過熱している状況にあり、いわゆるバブルと呼ばれるような暴落前の絶頂期には必ず共通した現象が見られます。

バブルとその暴落の仕組みは実に単純なものです。

まずバブル期には景気が拡大して株価もしくは不動産の価格が高騰し、いわゆるインフレの状況となります。

そして行き過ぎたインフレを抑制するために、中央銀行が『金利』を引き上げます。

金利が上がると不動産の売れ行きが徐々に鈍り、また企業の設備投資等も冷え込む傾向となるため、景気が鈍化して企業業績が悪化し、最終的には株価の暴落を招きます。

以上が株価暴落の原因の基本です。景気のサイクルというものは、実に単純なものなのです。

上記を統括すると、暴落の原因を一言で言ってしまえば、中央銀行が操作する『金利』が原因の根幹といえます。

金利が下がれば景気は拡大し、金利が上がれば暴落を招く、ただそれだけのことなのです。

したがって『金利』に着目していくことで、景気循環のおおよそを予測することができるようになります。

ただし、日本の株価は米国経済の影響を大きく受けるため、国内よりも米国の景気循環サイクルに追従するといって良いでしょう。

したがって米国の金利に着目することが重要で、FRBの動向が常に注目されるのはこのためであり、米国の長期金利が最も重要な指標といえるでしょう。

株価暴落の原因 歴史に学ぶ

それでは株価暴落の歴史を振り返ってみましょう。

下図に日米両国の株価、金利、為替の30年チャートを示します。

これらを見ながら実際に発生した3つの大暴落について歴史を振り返りながら解説していきます。

日米の株価・金利・為替の30年チャート

株価暴落の原因 リーマンショック(2007年)

✅株価が急上昇を続け過去最高値を更新

(ダウ:2003年/$8,000→2007年/$14,000)

✅米国の不動産価格が異常なまでに高騰(8年間で2倍)

          ↓

✅米国政策金利が急上昇

(2004年1.0%→2006年5.25%)

✅ドル/円が一時124円まで上昇

多くの投資家にとって最も記憶に新しいのが2008年のリーマンショックです。

リーマンショックは米国の不動産バブルが引き金ですので、米国の指標を重点的に見ていきます。

バブルピーク時の2007年に着目して下さい。

まず株価については長らく上昇を続け、NYダウは過去最高値を更新中の状況でした。

2003年には$8,000程度であったNYダウが4年後の2007年には$14,000にまで急上昇しています。

さらに下図に示す通り米国の不動産価格も急上昇しています。

住宅価格指数は1998年時点で90であったのに対し、2006年には180を超えたので、8年間で2倍になったということです。

住宅価格が8年間で2倍になるという状況は、まさに典型的なバブルといえます。

米国リート/住宅価格指数

このような背景のなか、FRBは金融引き締めのため政策金利を急激に引き上げました。

2004年5月までは1.0%であった政策金利を2006年6月までに5.25%にまで急激に引き上げたのです。

その後、耐えられなくなった不動産市場が崩壊を始めてリーマンショックが引き起こされ、株価の大暴落を招いたのです。

株価暴落 おすすめ教材

リーマンショックについて学ぶには、下記の映画『マネー・ショート』がおすすめです。

本作はリーマンショックについて描かれた実話の物語で、大暴落のメカニズムを映画を通して楽しみながら学ぶことができます。

ごく普通の映画ですので、超初心者でもリーマンショックについてしっかりと学ぶことができます。

本作についてはあの著名な投資家ロバート・キヨサキ氏が推薦していたため私も購入してみたのですが、勉強になり、映画としても楽しめたのでパフォーマンスの良い作品としておすすめです。

株価暴落の原因 ITバブル(2000年)

✅株価が急上昇を続け過去最高値を更新

(ダウ:1995年/$4,000→1999年/$11,500)

          ↓

✅米国長期金利(10年債)が急上昇

(1998年10月4.5%→2000年1月6.6%)

続いて2000年のITバブルの崩壊について見ていきます。

本件についても発端は米国のIT銘柄の高騰が引き金ですので、米国の指標を重点的に見ていきます。

ピーク時の2000年に着目して下さい。

株価はこの時も過去最高値を更新中で、NYダウはたったの4年余りで3倍近くにまで膨れ上がっています。

ここまでの急上昇はどうみても異常事態ですので、やはり警戒しなければなりません。

そして長期金利が急上昇します。

1998年10月には4.5%まで下落していた米国長期金利がたった1年3ヶ月後の2000年1月には6.6%にまで急上昇したのです。

そこから耐えきれなくなったかのように株価は徐々に下落を始め、1999年12月のピーク時には$11,500まで高騰していたNYダウは、2002年9月には$7,600にまで下落、米国市場全体の株価がおよそ2/3にまで下落してしまったのです。

株価暴落の原因 日本の不動産バブル(1990年)

✅株価が急上昇を続け過去最高値を更新

(日経平均は5年間で4倍)

✅国内の不動産価格が異常なまでに高騰

(地価が5年間で5倍)

          ↓

✅日本の政策金利が急上昇(2年弱で2.5→6.0%)

✅ドル/円が120円からたった1年で160円にまで急上昇

日本でのバブル崩壊といえば、この1990年の不動産バブルです。

このバブル崩壊をきっかけに日本は長らくデフレ不況の暗黒時代に突入し、1989年に付けた日経平均最高値38,915円は後に1/5以下の7,000円に至るまでの大暴落を起こすことになります。

発端は国内不動産の価格暴騰が引き金ですので、本件については日本の指標を見ていきます。

ピーク時の1990年に着目して下さい。

日経平均株価は過去最高値をどんどん更新し続け、未曽有の38,915円にまで急上昇を続けました。

これは4年間で3倍、5年間で4倍という凄まじいペースでの上昇でした。

そして下図に示す通り不動産価格が異常なまでに高騰しました。

1985年前後から急激に上昇を強め、不動産神話と称され東京の地価は5年間で5倍近くにまで高騰したのです。

不動産価格が5年で5倍になるなどもはや異常事態であり、まさに典型的なバブルといえます。

そしてここでも行き過ぎたインフレを抑制するため、日銀が政策金利を急激に引き上げます。

1989年までは2.5%であった政策金利が、たった2年弱の間に6.0%にまで引き上げられたのです。

ここまで急激な引き締め(利上げ)が行われては、不動産市場が耐えられるはずもありません。

不動産価格が暴落したことで株式市場にまで暴落を招き、バブル崩壊と呼ばれる大惨事となってしまったのです。

株価暴落の原因 2018年の急落も原因は同じ

ここまで株価暴落のメカニズムと、過去の暴落の事例について解説してきました。

ここまで学んできた内容を直近の株式市場の事例に当てはめてみると、より分かりやすいでしょう。

冒頭でもお話しましたが、2018年には株価暴落の局面が2回ありました。

2018年の2~3月と、10~12月にかけての急落です。

日経平均株価 5年チャート

米国10年債利回り 5年チャート

この2回の急落においても、原因の根幹となる部分は同じで、米国の長期金利の上昇がそもそもの発端にあります。

上図の米国10年債利回りのチャートに赤印を付けておきましたが、それぞれの局面において、金利が急上昇してきたことに対する警戒感が発端となり、株価の急落が始まっていることが分かると思います。

2016年7月には1.3%台にまで低下していた米国長期金利が、2018年2月に2.9%、10月には3.2%にまで上昇しました。

この時の暴落はマーケットが金利の急上昇を警戒したことが発端となっています。 

これら一連の動きは、過去の株価暴落の時の動きとまったく同じです。

規模は違うかもしれませんが、景気循環サイクルの仕組みとしては全く同じ原理を辿り、今回の暴落を招いています。

まとめ

以上により、株価暴落の原因について、歴史や経済の本質に迫りながら解説させて頂きました。

先に紹介した景気循環サイクルのイメージもう一度おさらいしておきます。

 

景気拡大 → インフレ → 金利上昇

↑           ↓

金利低下 ← デフレ ← 景気縮小

 

この循環サイクルのイメージを掴んでおくことが、これから投資をしていく上で非常に重要となります。

繰り返しますが『金利』が経済を動かしていることを理解し、歴史を学び、経済の本質を理解できれば、今後投資で負けることはなく、大いなる成功を手にすることができるでしょう。

歴史は必ず繰り返します。どんな時にも、答えは歴史が教えてくれるのです。

 

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