リーマンショックやITバブル崩壊に学ぶ株価暴落の予兆

2008年のリーマンショック、2000年のITバブル崩壊、1990年の日本の不動産バブル崩壊、これらの現象はいずれもバブル崩壊と呼ばれ、株式市場を暴落させてきた出来事として歴史に名を刻んでいます。

こうして並べてみると、概ね10年に一度はこのようなバブル崩壊の現象が起きていることになります。

いずれの暴落も株価が急激に半値以下になるという、投資家にとっては恐ろしい現象が、実際に10年に一度程度の割合で発生しています。

これらのような大暴落により持ち高が激減してしまう事は、できれば皆避けたいところですので、今回はどのようにすれば株価の暴落を事前に察知できるかについて解説したいと思います。

株価暴落前の予兆

株価の暴落には予兆があり、金利と為替の動きを見る事によってある程度予測することが可能です。

私が考える暴落前の予兆は非常にシンプルで、主に下記の2つだけです。

バブルピーク時の傾向

✅過熱しすぎた相場を抑制させるために、金利が必ず上昇する。

✅株価、為替、金利、不動産などが水準を大きく上回り、急激な上昇を続ける。

下図に日米両国の株価、金利、為替の30年チャートを示します。

これらを見ながら実際に発生した3つの大暴落について1つずつプレイバックしながら解説していきたいと思います。

日米の株価・金利・為替の30年チャート

株価暴落の予兆 リーマンショック(2007年)

多くの投資家にとって最も記憶に新しいのが2008年のリーマンショックです。

リーマンショックは米国の不動産バブルが引き金ですので、米国の指標を重点的に見ていきます。

バブルピーク時の2007年に着目して下さい。

株価暴落の予兆

✅株価が急上昇を続け過去最高値を更新(NYダウ:2003年/$8,000→2007年/$14,000)

✅ドル/円が一時124円まで上昇

✅米国長期金利が上昇(2003年3.3%→2007年5.1%)

✅米国の不動産価格が異常なまでに暴騰(8年間で2倍)

まず株価についてはバブルですのでNYダウは過去最高値の状況でした。

2003年には$8,000程度であったNYダウが4年後の2007年には$14,000にまで急上昇しています。

そして為替も好調な米国経済を背景にドル/円はどんどん上昇して120円を突破し、ピーク時には124円台を付けています。

私は上図の30年チャートからも分かるように、歴史的に120円を超えると危険信号であると考えています。

2007年当時にはこのラインを突破しています。

そして米国の長期金利も上昇しています。

2003年には3.3%まで下落していた長期金利が2007年には5.1%にまで上昇しています。

このようにバブルピーク時には、長期金利が必ず上昇します。

さらに下図に示す通り、米国の不動産価格も急上昇しています。

住宅価格指数は1998年時点で90であったのに対し、2006年には180を超えたので、8年間で倍になったということです。

住宅価格が8年間で倍になるという状況は、どう考えても完全にバブルですよね。

米国リート/ケースシラー住宅価格指数

🔹リーマンショックのおすすめ教材

リーマンショックについて学ぶには、下記の映画『マネー・ショート』がおすすめです。

本作はリーマンショックについて描かれた実話の物語で、大暴落のメカニズムを映画を通して楽しみながら学ぶことができます。

ごく普通の映画ですので、超初心者でもリーマンショックについて学ぶことができます。

本作についてはあの著名な投資家ロバート・キヨサキ氏が推薦していたため私も購入してみたのですが、勉強になり、映画としても楽しめたので、パフォーマンスの良い作品としておすすめします。

株価暴落の予兆 ITバブル(2000年)

続いて2000年のITバブルについて見ていきます。

本件についても発端は米国のIT銘柄の高騰が引き金ですので、米国の指標を重点的に見ていきます。

ピーク時の2000年に着目して下さい。

株価暴落の予兆

✅株価が急上昇を続け過去最高値を更新(NYダウは5年間で3倍近くにまで急上昇)

✅米国長期金利が急上昇(1年3ヶ月で2.1%上昇)

株価はこの時も過去最高値を更新中です。

NYダウはたった5年間で3倍近くにまで膨れ上がっています。

このような急上昇はどうみても異常ですので、やはり警戒しなければいけません。

そして米国の長期金利も急上昇しています。

1998年10月には4.5%まで下落していた長期金利がたった1年3ヶ月後の2000年1月には6.6%まで急上昇しています。

このようにバブルのピーク時には、長期金利が必ず上昇します。

株価暴落の予兆 日本の不動産バブル崩壊(1990年)

日本でのバブル崩壊といえば、この1990年の不動産バブル崩壊です。

このバブル崩壊をきっかけに日本は長らくデフレ不況の暗黒時代に突入し、1989年に付けた日経平均最高値38,915円は、後に1/5以下の7,000円に至る、超大暴落をすることになってしまいました。

発端は国内不動産の価格暴騰が引き金ですので、本件については日本の指標を見ていきます。

ピーク時の1990年に着目して下さい。

株価暴落の予兆

✅株価が急上昇を続け過去最高値(日経平均は4年間で3倍近くにまで急上昇)

✅ドル/円が120円からたった1年で160円にまで急上昇

✅国内長期金利が急上昇(10ヶ月で2.8%上昇)

✅国内の不動産価格が異常なまでに暴騰(5年間で5倍!)

日経平均株価は過去最高値をどんどん更新し続け、未曽有の38,915円にまで急上昇を続けました。

これは4年間で3倍、6年間で4倍という凄まじいペースでの上昇でした。

この超急上昇はどう考えてもバブルです。

また株価や不動産、物価の上昇に連動し、円安も急速に進行しています。

ドル/円は120円からたったの1年で160円にまで急上昇しています。

もはや全てにおいて無理が生じており、バブルという名の風船がどんどん膨らんでいるという状況です。

因みに後のバブル崩壊後の1995年のドル/円は80円にまで大暴落しています。

そしてここでも、長期金利の急上昇です。

5%程度で推移していた日本の長期金利はたったの10ヶ月で7.8%にまで急上昇しています。

これも過熱しすぎた株価や不動産価格を抑制するために日銀が金融引き締めを急激に強めた結果、株価や不動産の大暴落を招いています。

そして下図に示す通り不動産価格の異常なまでの高騰です。

1985年前後から急激に上昇を強め、不動産神話と題したったの5年間で不動産価格が5倍近くにまで暴騰しています。

不動産価格が5年で5倍になるなどもはや異常事態であり、どう考えてもバブルです。

ピーク時には価格が高騰しすぎて不動産投資の利回りが2%も出ずに、持てば持つほど赤字になるような物件でも、買えば値上がりする、という不動産神話の元とにかく物件が売れ続けていたようです。

このような状況はどう考えてもバブルです。

公示地価 50年チャート

まとめ

以上により、実際に起きた3つのバブル崩壊の実例を見ながら、株価暴落の予兆となる項目について解説させて頂きました。

前述の教訓に基づき傾向をまとめると下記のようになります。

バブルピーク時の傾向

✅バブルのピーク時には過熱しすぎた相場を抑制させるために長期金利が必ず上昇する。

👉長期金利が底値から1.8%以上の上昇が見られたら要注意

✅バブルのピーク時には株価、為替、金利、不動産などの指標が水準を大きく上回り急激な上昇を続ける。

👉ドル/円は120円を超えて上昇してくると要注意

間もなくこれらの要素を満たしつつあるのが米国市場です。

既にリーマンショックからは10年が経過しており、相場のサイクル的にはいつ暴落が起きても不思議ではありません。

指標を見る限り2018年11月現在ではまだ大丈夫ですが、特に長期金利はFRBによる利上げの影響もあり、米国10年債利回りは既に3.1%を超える水準にまで上昇しています。

これは2016年に付けた1.5%と比べると既に倍以上の金利であり、1.6%も上昇しているため警戒する必要があります。

ドル/円は2018年11月時点で112円台なのでまだ大丈夫ですが、120円前後に迫ってくれば要警戒レベルと考えます。

予測として米国金利が3.3%を超えてくれば、ドル/円も118円を超えてくるはずなので、この辺りまで上昇してくればピークを警戒する必要があると考えます。

相場を読むには、株価だけを見ているようでは絶対に成功できません。

株価は為替や金利、経済や政治と密接に関連しているためです。

これらの総合力を身につけるには、お金の教養が必要となります。

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