不動産投資のデッドクロスとは 減価償却後に潜むリスク

不動産投資の経営における重要な知識として『デッドクロス』と呼ばれる現象があります。

これは極めて重要な会計知識なのですが、数字に弱い人にはなかなか理解ができないのか、あまり広く知られていないのが実情です。

この『デッドクロス』は税金が絡む話なので、不動産会社もこの類の話にはあまり介入できず、積極的には話をしてくれないため、よく理解できていないオーナーもいるくらいです。

しかし不動産経営をして行くのであればこのデッドクロスについては超重要事項ですから、知らなかったでは済まされません。

不動産経営がうまくいかない人が多いのは、こういった会計知識が欠如しているからに他なりません。

今回はこの不動産投資のデッドクロスについて解説していきます。

不動産投資のデッドクロスとは

ここでは不動産投資のデッドクロスについて説明します。

厳密に説明してしまうと話が難しくなってしまうため、要約するとデッドクロスとは下記の定義と理解して差し支えありません。

健全な状態  : 税引き前キャッシュフロー ≧ 課税額 【黒字収支】

デッドクロス : 税引き前キャッシュフロー ≦ 課税額 【赤字収支】

本来あるべき健全な経営では、発生した利益に対して税金を支払うという構図ですが、『デッドクロス』の状態では会計上の仕組みで課税額が大きくなってしまい、キャッシュフローが赤字になってしまう状態のことを指します。

以下にデッドクロス発生のメカニズムについて解説していきます。

不動産投資のデッドクロス 主な発生原因

デッドクロスの発生する仕組みは、主に下記3点に集約されます。

要は課税額が大きくなり、キャッシュフローが赤字の状態となるのがデッドクロスと呼ばれる現象です。

デッドクロスの主な発生原因

✅ローンの返済負荷が大きい

✅築年数が耐用年数を超える

✅ローン借入期間が耐用年数を超えている

したがって税金の仕組みを理解し、どういう場合に税額の負担が大きくなるのかを理解しておきましょう。

デッドクロス発生のメカニズムには、元金返済部分の扱いと、減価償却費の扱いが大きく関わってきます。

元金返済部分 : 支払いがあるのに経費計上不可

減価償却費  : 支払いがないのに経費計上可能

この2つは真逆の性質を持っていて上記のような関係にあり、年数の経過とともにこの2つの関係が逆転(クロス)してしまう現象がデッドクロスと呼ばれています。

以下にデッドクロスの主な発生原因について解説していきます。

ローンの返済負荷が大きい

まずローンの元金返済部分は経費にならないことです。

これはローン返済という形で実際には支払いが発生しているにも関わらず、会計上は経費として計上できないため、実際には赤字の場合でも、会計上は黒字となり税金が発生するという仕組みにあります。

したがってローンの返済負荷が大きい場合には、デッドクロスになりやすくなります。

具体的には金利が高い場合やフルローンの場合など、返済比率の高い場合に発生しやすくなります。

耐用年数を超え減価償却ができない

減価償却は前述の元金返済部分とは逆の性質を持ち、実際には支払いが発生していないにも関わらず経費計上ができるので、税金を圧縮してくれる効果があります。

したがって耐用年数の範囲内であれば減価償却により税金の負荷を圧縮し、デッドクロスの発生を抑制してくれる性質を持っています。

ところが物件が古くなり築年数が耐用年数を経過すると、減価償却の期間が終了となるため減価償却ができなくなり、途端に税負担が重くなりキャッシュフローを圧迫します。

ローン借入期間が耐用年数を超えている

前述したように築年数が耐用年数を超えて減価償却が終了した時点でもまだローンの返済が残っている場合には、ほぼ例外なくデッドクロスとなり、キャッシュフローが赤字となります。

これは減価償却の終了に伴い税負担が急激に重くなっているにも関わらず、ローン返済が変わらずに残っているため、どうしても収益が圧迫されキャッシュフローが赤字となります。

不動産投資のデッドクロス 木造の場合が要注意

これまでデッドクロス発生の仕組みについて解説してきました。

要点をまとめると、築年数が耐用年数を超える状況でもローン残高が残る場合には、デッドクロスに陥りやすいといえます。

これらの条件を最も満たしやすいのが『木造』です。

建物の耐用年数はRC造47年、鉄骨造34年であるのに対し、木造の場合は22年と短いため、それだけ減価償却の期間も短く、償却後には途端に税負担が重くなるため、デッドクロスに陥りやすくなります。

加えて木造の場合には耐用年数を超える長期間の融資が盛んに行われています。

新築であれば30~35年といった長期融資が普通に行われており、中古の場合には築40年近くまで融資のつく金融機関もあります。

このように木造不動産は耐用年数を超えてもローン残高が残るケースが多いため、デッドクロスに陥りやすくなるといえます。

一度デッドクロスに陥ってしまうと、ローンを完済するまでは常に赤字収支の状況が続いてしまうため、経営的にも重大事項といえます。

知らなかったとならないよう、予めしっかりと勉強しておく必要があります。

不動産投資 デッドクロスを回避するには

✅頭金を多く投入する

✅予め繰り上げ返済を見据えて準備をしておく

✅購入前にしっかりと収支シミュレーションをする

頭金を多く投入する

デッドクロスを回避するための対策として、頭金を多く投入することが挙げられます。

これにより返済比率を下げる、もしくは融資期間を短くすることが効果的となります。

なかでもデッドクロスを回避するための最善の策は、頭金を多く投入し融資期間を耐用年数以内に抑えることです。

耐用年数を超える前にローンを完済できれば、デッドクロスを恐れる必要はなくなります。

予め繰り上げ返済を見据えて準備をしておく

前述したように木造不動産で耐用年数を超えるような長期の融資を組む場合には、デッドクロスを迎える可能性が極めて高まります。

しかし、そのリスクをあらかじめ分かっていれば何の問題もありません。

そのリスクの把握ができていれば、耐用年数を過ぎて収支が苦しくなる時に備え、資金を蓄えておくこともできるはずです。

資金の蓄えさえあれば、デッドクロスを迎えて収支が苦しくなってもその貯蓄を取り崩すこともできますし、繰り上げ返済をして解決することも可能となります。

購入前にしっかりと収支シミュレーションをする

デッドクロスとなる危険があるかどうかについては、あらかじめ購入前にしっかりと収支シミュレーションをしておくことが重要です。

不動産投資では通常、多額のローンを組んで投資をする訳ですから、それだけ自らの負うリスクも大きくなるため、後になって知らなかったでは済まされません。

自分なりに勉強して不動産経営の収支シミュレーションを実施すれば、デッドクロスとなるかどうかはすぐに分かるので、必ず収支シミュレーションを実施するようにしましょう。

不動産投資の収支シミュレーションの方法について学ぶには、下記の書籍が大変参考となります。Excelを活用して、将来の予想収支を計算してみましょう。

🔹今回の記事に関連するおすすめ書籍

まとめ

以上により、不動産投資のデッドクロスについて解説させて頂きました。

デッドクロスの原因は税金が主なので、不動産会社も触れて来ない場合が多く、デッドクロスのことを知らずに不動産を購入する初心者も珍しくありません。

一度デッドクロスに陥ってしまうと、ローンを完済するまでは常に赤字収支の状況が続いてしまうため、経営的にも重大事項といえます。

後で知らなかったとならないよう、予めしっかりと勉強しておきましょう。

不動産投資について学ぶには書籍にて独学で勉強をするのも良いのですが、初心者の方は何から始めれば良いのか分からない方も多いと思います。

そんな方は、一度無料セミナーに出てみるのも良いかもしれません。

なかでもファイナンシャルアカデミーが開催している『お金の教養講座』では不動産投資などの資産運用についての無料セミナーを実施していて、東京、横浜、名古屋、大阪の各校にて受講することができ、おすすめです。

👉お金の教養講座 ファイナンシャルアカデミー【無料】

🔹あわせて読みたい

👉不動産投資 おすすめ本【厳選】5冊【初心者必見】  

👉不動産投資 悪徳物件のリスクと回避の方法

🔹お金の教養講座【無料】セミナー実施中